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12 幼なじみと勉強会 (side 蓮詞)
期末テストが近くなると、必ずと言っていいほど行われることがある。
きっと今日にでも連絡があるはずだ。
期末テスト一週間前の休日。
その日も俺は、特になにをするでもなくただただ読書に勤しんでいた。
すると、スマホが着信を告げる。
やっぱり来たか。
俺はそう思いながら本に栞を挟み、スマホに出た。
「はい」
『蓮詞!?どうしよう~!もうテストまで一週間しかないのに!わからないところが多すぎるよ~!!』
今日も今日とて元気すぎる桜彩の声がスマホから聞こえてくる。
中間テストや期末テスト一週間前になると、必ずと言っていいほどに桜彩がテスト勉強に困り、泣きついてくる。もはやこの時期の恒例となっていた。
そして、俺が言うこともいつもと同じだ。
浅くため息をひとつついて、俺は言う。
「一緒に勉強するか?わからないところ、俺が教えるよ」
俺の言葉に、電話越しでもわかるくらいに桜彩の表情が明るくなった、と思う。
『本当に!?ありがとう!蓮詞!じゃあ今から行くね!』
そのままぷつっと通話が切れた。
電話越しでも騒がしいやつだ。
桜彩の家はうちの近所で、五分もせずにやってくるだろう。
「仕方ない。なにかお菓子でも用意しておいてやるか」
実のところ、きっとこの週末に桜彩がテストのことで泣きついてくると思っていた俺は、お茶菓子を用意していた。
「予想通りだ」
俺は二階にある自室から一階の台所におり、お茶の準備をする。
桜彩は結局のところなにを出しても喜んでくれるが、せっかくなら自分が好きだと思った美味しいものを出したい。
そうこうしていると、玄関のチャイムが鳴って、桜彩がやってくる。
「蓮詞―!お邪魔しまーす!」
俺が応答する必要もなく、桜彩は玄関を上がってきた。
長年幼なじみをやっていると、こういうことは当たり前で、桜彩も俺もお互いの家を自分の家のように過ごしていたりする。
「きたか」
「蓮詞!こんにちは!」
桜彩はいつもと変わらない明るい笑顔を俺に向ける。
なにがそんなに楽しいのか、桜彩はいつもにこにことしている。
どんなに嫌なことや辛いことがあっても、桜彩は周りを悪く言ったりしない。とにかく笑顔でなにもかも吹き飛ばすのが桜彩のいいところでもある。
「先に俺の部屋に行っていてくれ。お茶持って行く」
「わぁ!ありがとう!お菓子ある?」
「あるよ」
「楽しみ!あ、じゃなくて、お、お構いなく!だった!」
「なんだそれ?」
「お母さんがね、あんまり蓮詞に甘えちゃだめだよ~って」
「気にしなくていい」
「あ、そう?」
桜彩が甘えられるのなんて、俺くらいのものだろう。
なら、存分に甘えてもらって構わない。
俺たちは幼なじみなのだから。
お茶とお菓子を持って自室に戻ってくると、桜彩が部屋の真ん中に置かれたローテーブルに教科書とノートを広げているところだった。
「急に押しかけちゃってごめんね」
「いいよ、いつものことだろ」
えへへ、と照れくさそうに笑った桜彩は、さっそくこちらに教科書を向けてきた。
「ねえ、この数学の問題なんだけど、どうしてこの式になるの?」
「ああ、それは……」
そうして俺たちはテスト勉強を始める。