売られた令嬢、冷たい旦那様に溺愛されてます
ただ、ゆっくりと私の横顔を見つめる。
怒りもしない。罵りもしない。
ただ、じっと──まるで私の“心の奥”だけを見透かすように、見続けてくる。
息が苦しくなる。
この人は、何を考えてるの……?
どうして、私を“壊すように”扱いながらも、その目は──どこか、優しい?
そんなはずはない。
この人も、私を買った人。
だけど、どうして震えているのは、私じゃなくて……この人なの?
──わからない。
けれど、クライブ・オーセントという男が、ただの冷酷な買い手ではないことに──私はこの瞬間、初めて気づき始めていた。
突然、唇を塞がれた。
「──……っ!」
目を見開いた私の身体が硬直する。
クライブの手が私の頬をそっと押さえながら、唇を重ねていた。
それはあまりに急で、あまりに無情で、
私の“初めて”のキスは──抵抗する間もなく、奪われた。
けれど、すぐに耳元に唇が下りてきて、低く囁かれる。