売られた令嬢、冷たい旦那様に溺愛されてます
今なら、わかる。

私は“令嬢”としてではなく、“商品”として育てられていたのだということを。

金持ちに売り渡すために、仕込まれていたのだということを──

あの日、二十歳の誕生日を迎えた私は、ようやく知ることになる。

その日、私は叔父から、二十歳の誕生日祝いだと言って赤いドレスを贈られた。

「パーティーを開くから、着替えておいで」

そう告げられた私は、叔父の用意した部屋でゆっくりとそのドレスに袖を通した。

──やけに胸元が開いている。

肩も大胆に露わにされていて、まるで……娼婦のようだった。

鏡に映った自分の姿に、ぞくりと寒気がした。

けれど、「お祝い」だと言われてしまえば、疑うこともできない。

戸惑いを隠しながら、私は胸元を押さえるようにして立ち上がった。

さらに贈られたのは、深紅のルビーがあしらわれたネックレス。
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