喜びをあなたと一緒に
公園からそのまま聡真さんのカフェに向かう。
小走りになっていたのか、着いた時には息が切れていた。
お店はシャッターが閉まっていた。
時計を見ると、19時5分。
5分前に閉まったばかりだから、まだ中にいるかもしれない。
裏口をノックしてみようか。
でも、閉店後に押しかけたら迷惑かもしれない。

悩んでいると、ドアが開く音がした。
急いでドアの方を見る。
聡真さんが気づいて出てきてくれたのだ。そう思った。

しかし、出てきたのは20代ぐらいの見たことのない女性だった。
しかも、裏口からではなく、居住スペースとなっている2階のドアから出てきたのだ。

気づけば、涙が流れていた。

一歩も動けそうになかったが、このまま立っていたら女の人と鉢合わせてしまう。
いうことのきかない足を、何とか前に動かしてホテルへと帰った。
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