喜びをあなたと一緒に

別れ

翌日、私は画材を買いに出かけた。
何も持ってきていなかったから、キャンバスに絵の具、筆…必要な物を全て買った。
聡真さんが喜んでくれる絵を描きたかった。

ホテルだと、部屋を汚してしまわないかが心配だったから、公園まで出掛けた。

描く絵は決まっている。
昨日、彼が教えてくれたバイモユリだ。
バイモユリの謙虚なイメージは、水彩画が合うのではないかと思って、水彩絵の具を使って描いていく。
まだ絵を描けないんじゃないかという心配はいらないほどに、すらすらと描けた。

思った以上の出来映えだった。
早く渡したくて、早く聡真さんの反応を見たくて仕方がなかった。
喜んでくれるかな。
不安と期待が混じって胸がドキドキした。
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