小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第90話 再来する悲しみ(2/6)


「ち……違うの……」

 シャオレイが漏らした言葉に、フェイリンが顔を上げる。
 その紫水晶の瞳が――シャオレイの心を覗いていた。

 シャオレイは、愛を失うことを覚悟して、本当のことを言った。
「伽は、私の意思だったの……」

 その瞬間、フェイリンのわずかに目が見開かれた。
 フェイリンは、そっとシャオレイから体を離した。

“シャオレイがゼフォンとよりを戻した”
“自分との愛よりも、ゼフォンとの愛のほうが本物だった”

 ――そんな悲しみの疑念が、フェイリンの喉を越えて、勝手に口からこぼれる。
「そなたが選んだのは、俺じゃなくてダン・ゼフォンだったということか?」
 言った瞬間、フェイリン自身でも戸惑った。
(なんでこんなことを訊いたんだ?俺は……)
 その問いは、理性で絞り出したものではなかった。
 フェイリンは、シャオレイの口から“違う”と聞きたかった。
 ただ、それだけだった。

 だが、フェイリンの問いかけに、一気にシャオレイの血の気は引いていた。
 あまりに突然で、あまりによく似ていたのだ。――ゼフォンから冷淡に突き放されたあの日と。
 愛するゼフォンを守るために、シャオレイは手を汚した。だが、命をかけた彼女の想いを、ゼフォンからは“裏切り”と断じられた。
 そして、シャオレイが情に訴えてすがりついてもなお、ゼフォンからは手を振り払われた。
 そのすべてが、今――フェイリンのひとことによって、ありありとよみがえったのだ。

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