小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第94話 二度めの別れ(7/8)




 ゼフォンは、ずっと見ていた。

 シャオレイの額の小鳥が金色の光を放ち、宙に浮かぶ彼女を。

 それを追って飛び込み、シャオレイを抱えて泳ぐフェイリンを。

 河岸へと向かう、ふたりの姿を――。

 甲板には、シャオレイの残した宝飾品や衣《ころも》がきらめいていた。

 チャオ内侍も衛兵も、目を伏せ、ゼフォンの命《めい》を待っている。

 風が、ゼフォンの頬をやさしく撫でていた。まるで、慰めるように。
「……持ち場に戻れ」
 ゼフォンは衛兵たちに吐き捨てると、静かに踵を返した。

(予は間違ってはおらぬ。
あのときの判断も、処罰も。
予は皇帝だ。
女の情にすがることなど、あってはならぬ。
――あれを見せつけられて、なお追うなど、愚の骨頂だ。
追えば逃げる。
囲えば腐る。
あやつは、もう……予の女ではない)
 ゼフォンに、後悔などなかった。
(――ただの、1羽の小鳥にすぎぬ……)

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