結婚の決め手は焦げた玉子焼き!?黒豹御曹司は愛する秘書を逃がさない
    ◇
 
 秘書室で暁良のコーヒーを淹れていた沙紀は、大慌てな夏目と暁良の姿に驚いた。
 
「あの、どうかされ……」
「沙紀さん、今日16時からハルレンと打ち合わせがあるのに、なぜ暁良様の準備をしていないのですか?」
 ジャケットを羽織る暁良に夏目は腕時計を差し出し、次はネクタイを手渡す。
 
「えっ?」
 沙紀は急いでパソコンのスケジュールを確認する。
 だが、沙紀のパソコンにはハルレンとの打ち合わせは入っていなかった。
 一体どうして?
 
「すみません、すぐ準備します」
 淹れかけのコーヒーは時間がないのでそのまま、暁良の靴を準備し、靴ベラを手渡す。
 タブレットとスマホを鞄に突っ込み、沙紀は秘書室の鍵を閉めて暁良たちを追いかけた。
 車の中で沙紀はもう一度今日の予定を確認した。
 だが、やはり打ち合わせは入っていない。
 
「夏目さん、すみません。ハルレンとの打ち合わせ以外に、このあと予定はありますか?」
「ハルレンが16時から17時、そのあとマーシャルデザイン社と18時からでしょう?」
 ちゃんと確認してくださいと夏目に怒られる。
 沙紀のタブレットを覗き込んだ暁良は、真っ白な予定を確認し腕を組んだ。
 
「夏目、沙紀の予定表には何も入っていない」
「どういうことです? 私の予定には確かに……」
 信号待ちになった瞬間、夏目はタブレットを取り出し予定表を表示して沙紀に手渡す。
 二つのタブレットを見比べた沙紀と暁良は顔を見合わせた。
 
「青がじいさんの予定だな」
「そうです。青が宗一郎相談役、緑が暁良様、お二人そろっての予定はオレンジ、私個人はグレーです」
 沙紀のスケジュールだけ今日の16時からのハルレンと、18時のマーシャルデザイン社の予定がない。
 翌日の予定を確認すると、翌日はきちんと同じ暁良の予定が入っていた。
 
「この予定は誰が入れるんだ?」
「私です。私が先方と時間を決めて、夏目さんと自分のスケジュールに入れています」
「入れた履歴はあるのか?」
 沙紀は夏目にスケジュールを送信した履歴を確認する。
 
「……あります。先週の水曜に送っています」
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