親友のキミと、あと1ミリの恋
第4話 手を伸ばす勇気
10月下旬、待ちに待った文化祭当日がやってきた。
学校中がお祭り騒ぎで、活気と熱気に満ちている。
廊下には模擬店の甘い匂いや、軽音楽部の演奏が響き渡り、生徒たちの楽しそうな声がそこかしこで弾けていた。
このお祭りのような雰囲気に、私の心も浮き立とうとしていた。
けれど、遠くから聞こえる軽音楽部の演奏のように、晴人へのこの想いは、誰にも届かないままだという現実が、胸の奥に冷たい影を落としていた。
先月からみんなで準備を進めてきた、私たちのクラスのお化け屋敷は大盛況。ありがたいことに、教室の外には長い行列ができていた。
「いらっしゃいませ! 3名さまですね」
私は受付で、訪れるお客さんたちを笑顔で迎える。
「うーっ!」
「キャーッ!」
お化け屋敷の奥からは、晴人の低い唸り声や、お客さんの悲鳴が聞こえてくる。
彼は装飾係と並行して、おばけ役も買って出てくれたのだ。
晴人のことだから、きっと大活躍しているんだろう。
その姿を想像するだけで、自然と笑みがこぼれた。