赤く染まった顔、見せたら最後。
本章
二年前に婚約を結んだ相手、雨野(あめの) 修矢(しゅうや)は淡々とした人物だった。

冷めているのか、私に興味がないのか、どちらかは分からない。

私の話を静かに聞いて、たまに上辺だけのような微笑みを浮かべる。

この婚約が嫌なのかもしれないとすぐに頭をよぎった。



形だけの婚約なんて、無くしてしまえば良い。



そう決意して、修矢さんの家を訪れたのが十分前のこと。



「形だけの婚約なんて破棄しましょう」



そう告げた瞬間、私は修矢さんに押し倒された。
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