赤く染まった顔、見せたら最後。
意味の分からないゲームを提案されても、私の表情はきっと一切変わっていないのだと思う。

昔から表情が(とぼ)しい子だった。

そんな私を心配していた両親は、この婚約が決まると心から喜んだ。

表情が乏しい私を見ても、婚約を(こころよ)く受けた修矢さんを見て、「やっと娘を理解してくれる子が出来た」と喜んだ。

そんな理由で決まった婚約は、どちらの家にとっても大きな利益があったわけじゃない。

きっと修矢さんだって本当は婚約破棄したいと思っているだろう。



「離してください」



私を押し倒したまま両手を押さえている修矢さんにはっきりと言い放つ。
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