神様はもういない
 雅也と食事か……。
 雅也はロマンチストなところがあって、いつも洒落たお店に連れて行ってくれる。二人できらきらの夜景が見えるレストランに行くところを想像する。すごく、楽しいだろう。
 でも今は、彼と二人でディナーに行きたいという気持ち以上に、仕事に対する不安な気持ちが大きいことに気づいた。
【ごめん。例のデザイン、もう少し考えたいの。コンペが終わったらまたデート行きたいな】
 メッセージを打ちながら、多少の罪悪感に胸が揺れた。でも、不安な気持ちのままデートに出かけたところで、雰囲気をぶち壊してしまいそうで怖かった。
 少ししてから返信が来た。
【了解。俺もチームだから、何かあったらいつでも相談して。また明日にでも一緒に考えよう。頑張ってね】
 優しい彼は私の不安な気持ちを理解してくれたようで、心底ほっとした。
 雅也とは入社してチームで仕事をするようになり、打ち解けた。年下だが、会社の仕組みや人間関係について色々と教えてもらううちにとても頼りがいがあるひとだと分かった。雅也から「実は、あゆりさんに一目惚れをしたんです」と告白をされたのはつい一週間前。私たちはまだ、付き合い始めて一週間の新米カップルだった。
 だからこそ、怖かった。
 この先、大事なひとをまた(・・)失うのかもしれないと思うと。 
 怖くて、雅也との付き合いに慎重になっている自分がいた。
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