契約外の初夜で、女嫌い弁護士は独占愛を解き放つ~ママになっても愛し尽くされています~
「だから、偽りじゃない夫婦になってほしい」


 ただただ、嬉しい。
 ひとりで抱えていた不安も恐怖も少しずつ溶けていくようで、私も同じ気持ちであると言いたい。


(でも、本当にこれでいいの……?)


 彼を疑っているわけじゃないのにすぐに言葉が出てこなかったのは、まだすべてに安心できない私がいるから。
 住んでいる世界の違いや、解決できているとは言えない中郷課長のこと。
 不倫疑惑で会社を辞めたなんて知られたら、幻滅されないだろうか……。
 もしかしたら、嫌われるかもしれない。


 それに、侑李さんも完全に冷静だとは思えない。
 突然、私の妊娠を知ったのだから、少なからず動揺はあるはず。


 そう思うと、今すぐに返事をしてもいいのかわからなくなってしまった。
 彼の想いが嘘じゃなくても、様々なことが私を揺るがせる。


「ごめんなさい……。少し時間をください……」


 程なくして私の口から零れたのは、本音を隠した言葉だった。

< 137 / 187 >

この作品をシェア

pagetop