契約外の初夜で、女嫌い弁護士は独占愛を解き放つ~ママになっても愛し尽くされています~
 玄関のドアを開けると、那湖がリビングから顔を覗かせた。


「おかえりなさい」
「ただいま」


 パタパタと可愛い足音で近寄ってきた那湖を抱きしめ、小さな深呼吸をする。
 彼女の体温と香りが、苛立ちと疲労を癒やしてくれるようだった。


 同居して四か月。
 ほぼ毎日こうして那湖が出迎えてくれることが幸せで、愛おしさが募っていく。
 そして、日に日に恋情が強くなっていくたび、どうしてもっと早くに自分の気持ちを言えなかったのか……と後悔にも苛まれてしまう。


 けれど、それを今さら嘆いたところでどうすることもできない。
 だからこそ、彼女をひとりで不安にさせて傷つけてしまった分、一生大事にしようと固く決めている。
 たとえなにがあっても、手放すつもりはない。


「晩ご飯は冷しゃぶにしてみました。今日も暑かったからさっぱりした味付けの方がいいと思って、レモンドレッシングも作ったんですよ」
「それは楽しみだ」


 今夜も、那湖の料理を囲んで他愛のない話をする。
 家政婦を依頼することになったものの、彼女の強い希望で料理は頼んでいない。
 おかげで、俺は毎日おいしい食事を味わえている。

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