契約外の初夜で、女嫌い弁護士は独占愛を解き放つ~ママになっても愛し尽くされています~
 その後は、『恥ずかしいから』という理由で一緒に入ることを断ってきた那湖の意見を尊重し、交代で風呂を済ませて寝支度を整えた。
 食後の片付けは、彼女が風呂に入っている間の俺の役割だ。
 これも一悶着あったが、『夫婦なんだから役割分担するべきだ』という俺の意見に納得してくれた。


 那湖との会話なら、どんなことでも楽しい。
 自分の中にこんな気持ちがあるなんて知らなかった。
 もっと言えば、相手が彼女でなければ一生知ることはなかったかもしれない。


 そんなことを考えながら寝室に移り、那湖とともにベッドに入った。
 明日はベビー用品を買いに行く予定のため、彼女と詳細を決めていく。
 那湖の体調が最優先だが、行きたい店の話をする彼女がとても楽しみにしているのが声音や表情から伝わってきて、ガラにもなく俺も明日が待ち遠しかった。


 少しずつ、確実に近づいていく距離が心地よくて、些細な変化も愛おしい。
 寝る前のなにげないこの時間すら宝物のように思えるなんて、おかしいだろうか。

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