契約外の初夜で、女嫌い弁護士は独占愛を解き放つ~ママになっても愛し尽くされています~
エピローグ
夏を越えて秋が過ぎ、冬を迎える頃。
二十八歳の誕生日を迎えた私は、侑李さんと生後三か月の娘——瑚湖とフレンチレストランを訪れた。
すべて完全個室で、小さな子どもがいても気兼ねなく過ごせる。
旬の素材を使った彩り豊かなフルコース料理は一品一品が芸術のようで、感嘆のため息が出るほどおいしく、育児で疲労困憊している心身が癒やされていく。
瑚湖はお利口にしてくれ、途中でミルクを飲んでからは眠っていた。
「そういえば、そろそろベビーシッターを頼んでみないか?」
食後のコーヒーを味わっていると、彼が不意にそんなことを切り出した。
「那湖が仕事に復帰したあと、瑚湖を見てくれる人が必要だろ。病気で保育園を休まないといけない時や仕事が遅くなる日もあるだろうし、せっかく花本パートナーサービスにはシッターもいるんだから」
「確かにそうだと思います。でも……」
贅沢な選択のように思えて、躊躇してしまう。
お客様の中には定期的にベビーシッターを依頼してくる人はいるけれど、私の中にはその選択肢がなかった。
上手く言えないけれど、瑚湖を犠牲にしてしまうような気持ちがあったのかもしれない。
二十八歳の誕生日を迎えた私は、侑李さんと生後三か月の娘——瑚湖とフレンチレストランを訪れた。
すべて完全個室で、小さな子どもがいても気兼ねなく過ごせる。
旬の素材を使った彩り豊かなフルコース料理は一品一品が芸術のようで、感嘆のため息が出るほどおいしく、育児で疲労困憊している心身が癒やされていく。
瑚湖はお利口にしてくれ、途中でミルクを飲んでからは眠っていた。
「そういえば、そろそろベビーシッターを頼んでみないか?」
食後のコーヒーを味わっていると、彼が不意にそんなことを切り出した。
「那湖が仕事に復帰したあと、瑚湖を見てくれる人が必要だろ。病気で保育園を休まないといけない時や仕事が遅くなる日もあるだろうし、せっかく花本パートナーサービスにはシッターもいるんだから」
「確かにそうだと思います。でも……」
贅沢な選択のように思えて、躊躇してしまう。
お客様の中には定期的にベビーシッターを依頼してくる人はいるけれど、私の中にはその選択肢がなかった。
上手く言えないけれど、瑚湖を犠牲にしてしまうような気持ちがあったのかもしれない。