契約外の初夜で、女嫌い弁護士は独占愛を解き放つ~ママになっても愛し尽くされています~
「那湖が気に入ったものはなんでも買おう。金額は気にしなくていい」
「なんでもはちょっと……。必要なものは買うべきですけど、金額は気にしないと」
「だが、俺たちの子どものためだし、できるだけいいものを準備したい」
「それは同意しますけど、侑李さんはすぐに高価なものを選ぶから……」


 困ったように笑う那湖が可愛くて、抱きしめているだけなのが歯がゆい。
 すぐに我慢できなくなって彼女の額と頰にくちづけ、柔らかな唇にもキスをした。


 一度唇を離し、今度は何度も食む。
 甘やかすような動きだが、俺が那湖を堪能しているだけ。
 彼女が妊娠していなければ、すぐにでも服を剥いでいただろう。


 けれど、無理をさせるわけにはいかないため、グッとこらえる。
 歯列を舐めて舌を絡めると、ますます欲がせり上がってきたが、甘い吐息に心を乱されながらも唇を解いた。
 自身の中で暴れる雄の本能を押さえつけ、那湖の体を抱きしめ直す。


「那湖が好きすぎて、時々頭がおかしくなりそうだ……」


 ふふっと愛らしく笑った彼女が、「私もです」と返してくれる。
 そのたった一言にも胸が掴まれて、どうしようもないほどの愛おしさが込み上げてきた。


 扱え切れない感情に翻弄されてばかりなのに、幸せで仕方がない。
 だからこそ、那湖にも一秒でも長く幸福感を抱いてもらえるよう、大事に愛していこうと思った——。

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