契約外の初夜で、女嫌い弁護士は独占愛を解き放つ~ママになっても愛し尽くされています~
「だが、浅間さんはしつこくて……。俺は独身だから目をつけられたんだろう。娘さんもいいお相手がなかなかできないそうで、ご本人もぜひ……と乗り気らしい」


 櫻庭さんは『独身だから』と言ったけれど、きっとそうじゃない。
 浅間さんは、仕事ぶりや人となり、容姿なども含めて彼を気に入っているのだろう。
 たぶん、浅間さんの娘さんも……。


「のらりくらり躱してきたんだが、まあ……強く言える相手じゃないし、俺はパートナーがいるかどうかは濁してきたんだが実際には紹介できる相手もいないしで、最近は断るのも難しくなってきた」


 深いため息が混じった声音から、その苦労が窺える。
 所長の遠縁の親戚、顧問弁護士という立場、VIPのような存在。
 いくら雑誌に載る優秀な弁護士とはいえ、そう強くは出られないのだろう。


「そしたら今日は具体的な日程まで組まれそうになって……そこに辻山さんがいた」


 渡りに船、とでも言うべきか。
 櫻庭さんにとっては、無害でいてくれそう……ということだったのかもしれない。


「あとは、辻山さんの前で振る舞った通り……。これは本当に申し訳ない」
「いえ、それはもう……」


 何度も謝られると、かえってこちらが申し訳ない気持ちになる。
 気を使わせないようにけろりと笑いたかったけれど、彼の本題はここからだとわかっているから頬が引き攣ってしまった。

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