契約外の初夜で、女嫌い弁護士は独占愛を解き放つ~ママになっても愛し尽くされています~
五章 偽りの婚約者
(とりあえず落ち着いて……。いつも通りにすれば大丈夫、だよね?)
エレベーターの中で、何度も深呼吸をする。
今日も仕事で侑李さんのマンションを訪れたのだけれど、あの雨の日以降初めての訪問日ということが緊張感を抱かせる。
あの日、夜遅くに目を覚ました私は、動揺と困惑でいっぱいになった。
彼の色香にあてられるように抱かれたものの、冷静になるにつれてとんでもないことをしてしまった……という不安と後悔が芽生えたのだ。
結果として、眠る侑李さんを起こさないようにベッドから抜け出し、帰宅した。
翌日になって、あれは夢だったのかも……なんて目を覚ましたばかりのベッドの中で思ったけれど、体に残った違和感と痛みがそれをきっぱりと否定してきた。
そのまま仕事で会うことも連絡を取ることもなく今日に至る——というわけだ。
幸か不幸か、今日は彼が家にいるらしい。
コンシェルジュからそれを聞き、私は必死に心を落ち着かせようとしていた。
インターホンを鳴らすと、すぐに侑李さんが顔を覗かせた。
「おはようございます」
「ああ、おはよう」
「お邪魔いたします。今日はお休みですか?」
「いや、出社時間を遅らせたんだ」
「そうだったんですね」
緊張のせいか、声が震えそうになる。
恋愛経験がない私は、あんなあとでどんな顔をすればいいのかわからない。
彼とはできるだけ目が合わないようにして、リビングに足を踏み入れた。
エレベーターの中で、何度も深呼吸をする。
今日も仕事で侑李さんのマンションを訪れたのだけれど、あの雨の日以降初めての訪問日ということが緊張感を抱かせる。
あの日、夜遅くに目を覚ました私は、動揺と困惑でいっぱいになった。
彼の色香にあてられるように抱かれたものの、冷静になるにつれてとんでもないことをしてしまった……という不安と後悔が芽生えたのだ。
結果として、眠る侑李さんを起こさないようにベッドから抜け出し、帰宅した。
翌日になって、あれは夢だったのかも……なんて目を覚ましたばかりのベッドの中で思ったけれど、体に残った違和感と痛みがそれをきっぱりと否定してきた。
そのまま仕事で会うことも連絡を取ることもなく今日に至る——というわけだ。
幸か不幸か、今日は彼が家にいるらしい。
コンシェルジュからそれを聞き、私は必死に心を落ち着かせようとしていた。
インターホンを鳴らすと、すぐに侑李さんが顔を覗かせた。
「おはようございます」
「ああ、おはよう」
「お邪魔いたします。今日はお休みですか?」
「いや、出社時間を遅らせたんだ」
「そうだったんですね」
緊張のせいか、声が震えそうになる。
恋愛経験がない私は、あんなあとでどんな顔をすればいいのかわからない。
彼とはできるだけ目が合わないようにして、リビングに足を踏み入れた。