契約外の初夜で、女嫌い弁護士は独占愛を解き放つ~ママになっても愛し尽くされています~
「では、今日も——」
「先に話をさせてほしい」
先手を打つつもりが、侑李さんに遮られてしまう。
同時に、彼が出社時間を遅らせた理由を悟った。
ただ、私はあくまで仕事中であることを肝に銘じて「はい」と小さく頷いた。
座るように促され、ソファに座る。
少し離れて、侑李さんも腰を下ろした。
わずか五十センチほどの距離なのに、今日の私たちの間には分厚い壁がある。
そんな風に思うのはおかしいのだろうけれど、あの日に覚えたお互いの肌に吸いつくような甘い感覚が忘れられないせいか、寂寥感を抱いた。
「この間のことなんだが」
どんな顔をすればいいのかわからなくて、頬が引き攣りそうになる。
「あんな形で抱いてしまって申し訳なかった」
一拍置いて、罪悪感に満ちた声音が静かなリビングに響いた。
「いえ……」
声が震えそうになったのは、おこがましくも傷ついてしまったから。
大の大人が、夜にふたりきり。
明確な拒絶を見せなかったのだから、同意したも同然と言える。
だから、私は侑李さんに対して怒りも幻滅する気持ちもない。
流されてしまったとはいえ、あの夜のことは私にも責任がある。
それなのに、傷つくなんて……。悲劇のヒロインみたいで嫌だった。
「先に話をさせてほしい」
先手を打つつもりが、侑李さんに遮られてしまう。
同時に、彼が出社時間を遅らせた理由を悟った。
ただ、私はあくまで仕事中であることを肝に銘じて「はい」と小さく頷いた。
座るように促され、ソファに座る。
少し離れて、侑李さんも腰を下ろした。
わずか五十センチほどの距離なのに、今日の私たちの間には分厚い壁がある。
そんな風に思うのはおかしいのだろうけれど、あの日に覚えたお互いの肌に吸いつくような甘い感覚が忘れられないせいか、寂寥感を抱いた。
「この間のことなんだが」
どんな顔をすればいいのかわからなくて、頬が引き攣りそうになる。
「あんな形で抱いてしまって申し訳なかった」
一拍置いて、罪悪感に満ちた声音が静かなリビングに響いた。
「いえ……」
声が震えそうになったのは、おこがましくも傷ついてしまったから。
大の大人が、夜にふたりきり。
明確な拒絶を見せなかったのだから、同意したも同然と言える。
だから、私は侑李さんに対して怒りも幻滅する気持ちもない。
流されてしまったとはいえ、あの夜のことは私にも責任がある。
それなのに、傷つくなんて……。悲劇のヒロインみたいで嫌だった。