契約外の初夜で、女嫌い弁護士は独占愛を解き放つ~ママになっても愛し尽くされています~
「あの日のことは、侑李さんだけのせいじゃありませんし……」
どう言っても取り繕うことになりそうで、こう答えるのが精一杯だった。
「でも、那湖は初めてだっただろ?」
その言葉で、頬がかあっと熱くなる。
バレていないと思っていたわけじゃないけれど、いざ面と向かって言われると羞恥に襲われる。
「その……すみません……。シーツ、とか……」
あの夜、目を覚ました私は素っ裸で。物音を立てないようにしつつも脱兎のごとくベッドから逃げ、乾燥機に放り込んでいた服を着て彼の家を後にした。
シーツや借りていた服のことに思い至ったのは、帰宅後のこと。
特にシーツは汚してしまったに違いないけれど、自分から連絡する勇気がないまま今日になってしまった。
「いや、それは構わないんだが……」
気まずい沈黙に包まれる。
数え切れないほどのキスも、肌を重ねたことも、まるで嘘だったよう。
侑李さんが私を気遣ってくれているのも、慎重に言葉を選んでいるのもわかって、なんだか申し訳なくなってくる。
罪悪感と責任感が滲む瞳を見ていると、この空気に耐えられなくなった。
「あの日のことは、もう忘れましょう……。侑李さんが私に対して望んでるのは、偽りの婚約者だとわかってますから」
必死に笑みを繕って、なんでもないふりをする。
「だが、俺は——」
彼は納得できない様子だったけれど、スマホの着信音に話を遮られた。
どう言っても取り繕うことになりそうで、こう答えるのが精一杯だった。
「でも、那湖は初めてだっただろ?」
その言葉で、頬がかあっと熱くなる。
バレていないと思っていたわけじゃないけれど、いざ面と向かって言われると羞恥に襲われる。
「その……すみません……。シーツ、とか……」
あの夜、目を覚ました私は素っ裸で。物音を立てないようにしつつも脱兎のごとくベッドから逃げ、乾燥機に放り込んでいた服を着て彼の家を後にした。
シーツや借りていた服のことに思い至ったのは、帰宅後のこと。
特にシーツは汚してしまったに違いないけれど、自分から連絡する勇気がないまま今日になってしまった。
「いや、それは構わないんだが……」
気まずい沈黙に包まれる。
数え切れないほどのキスも、肌を重ねたことも、まるで嘘だったよう。
侑李さんが私を気遣ってくれているのも、慎重に言葉を選んでいるのもわかって、なんだか申し訳なくなってくる。
罪悪感と責任感が滲む瞳を見ていると、この空気に耐えられなくなった。
「あの日のことは、もう忘れましょう……。侑李さんが私に対して望んでるのは、偽りの婚約者だとわかってますから」
必死に笑みを繕って、なんでもないふりをする。
「だが、俺は——」
彼は納得できない様子だったけれど、スマホの着信音に話を遮られた。