婚活!~絶対幸せになれる婚、探してます~
「もう随分昔の話だよ。安芸野さんが結婚する前、営業部にいた頃の話だから。桃代さんは……たぶん入社はしてたと思うけど、まだうちの部署にいなかったかな」

私はこくりと小さく頷く。入社して二年間は管理系の部門でお世話になっていたから、安芸野さんが営業部にいたときのことは知らない。

「付き合ってた期間も短かったと聞いているし、今さら僕らが気を遣ってどうこうする必要はないと思う」

「そうなんですね」

正直、動揺していたけれど、心配をかけまいと笑顔で応じる。

作り笑顔に見えてしまったのか、美作マネージャーは困ったように眉を下げてこちらを覗き込んできた。

「ちょっとショックだったかな?」

不意に彼の手が伸びてきて、私の指先を掴む。

……慰めようとしてくれているのかな? 

それにしても突然触れられるとは思わず、緊張からわずかに体がこわばる。

「いえ、ショックを受けるようなことはなにも」

慌てて手を引っ込めようとすると、逆に力を込められ、耳のすぐ横で囁かれた。

「もしふたりのもとに戻るのがつらいなら、このまま一緒に姿をくらませちゃおっか」

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