婚活!~絶対幸せになれる婚、探してます~
少なくとも安芸野さんはそれを望んでいるように聞こえた。

身動きが取れず小さくなっていると。トントンと背中を叩かれ、びくりと体が跳ね上がった。

振り向けば、人差し指を口もとに立てて〝しーっ〟というアクションをする美作マネージャー。ああ、ドキドキした。本当に心臓が止まるかと思った。

彼は私の手を引っ張って、廊下の先を指し示す。

移動しようってこと?

よくわからないがこのままここにとどまるわけにもいかなくて、彼の指示通りに足音をころしてその場を離れた。

通路の奥、席からは会話の聞こえない場所まで歩いて、あらためて尋ねられる。

「桃代さん、大丈夫? 固まっちゃってたけど。なにか気まずい会話でも聞いたりした?」

私が聞き耳を立てているところを見られていたみたいだ。かといって、ふたりの関係を私の口から打ち明けるわけにもいかず「ええと……」と口ごもる。

「……もしかして、ふたりが昔付き合ってたこと、とか?」

彼の口から核心的な言葉が出てきて、大きく目を見開く。

美作マネージャーはふたりの関係を知っていたんだ。私は観念して「はい」と頷く。

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