婚活!~絶対幸せになれる婚、探してます~
凛と前だけを見つめる姿は、清々しささえ覚える。

けれどね、と安芸野さんは眉を下げる。

「聖澤くんはほら、私と違って真面目だから。他人を傷つけて平気なままではいられないでしょう?」

ああ、と腑に落ちる。そのひと言で聖澤さんの行動原理がわかった気がした。

大切な人だから傷つけたくない、恋愛から距離を置くのも、結婚に興味がないと言うのも、彼があまりにも誠実で真面目すぎるから。

「彼にはきっと、あなたのような人が必要なのよ。隣に並んで歩いてくれる人が」

そうだったらいいなと思う。真面目すぎて臆病になっている彼の腕を引いて歩んでいけたら――。

「強引に迫っちゃいなさいよ。彼のこと、好きなんでしょう?」

「でも、私が気持ちを押し付けたら傷つけてしまいそうで」

「全~然問題ない。そのくらいの傷、負わせてやりなさい! 女は相手の人生に爪痕を残してなんぼよ!」

ぎょっとして目を瞬かせる。なんて豪快な理論なのだろう。

でも、おっかなびっくり相手との距離を測り続けるより、そちらの方がずっと建設的な気がした。

「あなただってそうしなきゃ、前に進めないんでしょう?」

「そう、ですね」

はっきりさせなきゃ終われない。それは確かで、もやもやしたまま次に進むなんて私には無理だ。

「私なりに、やってみます」

「そうね。それがいい」

安芸野さんは豪快に微笑むと、どこか安心したような表情で静かなオフィスをあとにした。




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