婚活!~絶対幸せになれる婚、探してます~
思わず笑みが込み上げてきたのは、かつて俺も同じことを思ったからだ。回転率と客単価を計算してしまうのは職業病だろう。

「客を狭い場所に押し込みたくないそうだ。オーナーが所有するビルだから賃料もかからないし、そこそこの儲けがあれば充分らしい」

カウンターにいるオーナーを目で指し示しながら答える。歳は四十前後、短く整えられた髭がお洒落な、落ち着いた印象の色男である。

このあたりの土地を所有しているらしく、賃料を回収するだけでも充分食べていけるのだろう。この店は道楽に近く、赤字さえ出なければかまわないようだ。

「オーナーさん、自ら接客されてるんですね」

「アルバイトも雇ってるけど、基本的には経営も調理も配膳もなんでもやるみたいだ。趣味のようなものだと言っていた」

店のコンセプトは〝落ち着いて飲める空間〟だそうだ。喧騒にまみれた騒がしい飲み屋にはしたくないらしい。

そんな彼が注文を取りに来る。

「いらっしゃいませ。今日はなにをお出ししましょう?」

「彼女の腹が限界なんで、ひとまずガッツリ系の肉料理をお願いします」

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