あゝ夏休み
プロローグ
1学期最後の日は、嬉しい反面、恐怖の日でもある。

通信簿を渡されるからね。

「伊達ー!伊達美里ー!」

担任に呼ばれ、冷や冷やしながら通信簿を受け取る。

「もうちょっと頑張らないとダメだな」

担任のその言葉で、中を見なくても、決していい結果ではないことがよくわかった。

誰にも覗き込まれぬよう、教室の一番後ろで、恐る恐る見る。

「げっ!」

思わず、反射的にそんな声が出てしまう。

【掃除の時間に、チャンバラをするのはやめましょう】

【残したパンを机の奥で腐らせるのは、クラスのみんなに迷惑です。ちゃんと食べるか、忘れずに持ち帰ること】

担任から、親へのチクリのようなコメントだけでなく、成績も悲惨だった。

5段階評価で、以前は5もあったのに、今では体育と音楽だけが4で、あとは全部3である。

どうしよう⋯⋯こんなものを見せたら、母に殺される!
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