あゝ夏休み
「みさっちゃーん、成績どうだった?」

友人の聡子が嬉々として聞いてくる。

「え?いや⋯⋯冴えないかな。さとちゃんは?」

「私も、いつもと代わり映えしないよ」

そうは言っても、聡子は成績優秀で、私と同じにはならない。

母からの落雷は確定なので、どうにかして避雷針を探さなければ。

憂鬱な気分で帰宅すると、母は既に不機嫌だった。

「母ちゃん、どうした⋯⋯?」

「子供には関係のないことよ」

その時、私はラッキーだと思った。

よその女性に外面のいい父のことで、またしても母は不機嫌になっている様子。

父は美容師なのだが、仕事柄もあってか、とにかく口がうまい。

恐らくその大半はリップサービスなのに、時折、本当に美人のお客さんのことを褒めると、母は酷く機嫌が悪くなる。

父が帰ってくる時間帯を見計らい、その直前に通信簿を見せよう。
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