あゝ夏休み
もうじき、表の店から父が戻ってくるタイミングで、

「母ちゃん、通信簿なんだけど⋯⋯」

自ら見せると、想像通り母は激怒。

「何なのこれ!?お姉ちゃんもバカだったけど、あんたも酷すぎるわ!」

ギャンギャン怒鳴られていると、

「ただいまぁ」

父が帰ってきたので、玄関へと逃げた。

「お帰りー!今日、店に観月さん来てたんじゃない?あの人、ホントにキレイだよねー!」

私が大声で言うと、父はニヤニヤしながら、

「お前もそう思うか?確かに、彼女は本当に⋯⋯」

そこまで言い、父は口を閉ざした。

母が鬼の形相で睨みつけていたからである。

「あなた⋯⋯。前から観月さんが来ると、いつもご機嫌なのね?」

母はもう、通信簿のことなど忘れ、嫉妬の塊になっている。

「な⋯⋯何を言ってるんだ。お客さんはみんな神様だろう」

「誤魔化さないで!」
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