めぐり逢い 憧れてのち 恋となる【書籍化】
「青山」
「は、はい」
「ずっと覚えててくれたのか? 俺との会話を、4年間も」
「そ、そうです」
花穂はうつむいたまま小さく頷く。
「俺の手がけたあのジュエリーショップを見て、憧れてくれたのか? 自分もチェレスタのデザイナーになろうって」
「そうです」
「再会して俺だと気づいても、変わらずいい思い出として、大切に胸に秘めてくれていたのか?」
「そうです」
「俺に、幻滅しなかったのか? こんなに冷たいやつだったなんてって」
「幻滅なんてしません。だって浅倉さんは4年前と変わらず、優しさに溢れた人だったから。悩む私を励まして、ギュッて抱きしめてくれたから。ぶっきらぼうな言葉とは裏腹に、あなたの腕はいつも温かかったから」
「青山……」
次の瞬間、花穂は大地の大きな胸に抱きしめられていた。
「ありがとう、俺のことを覚えていてくれて」
「浅倉さん……」
「ありがとう、4年間もずっと大切な思い出にしてくれて。俺なんかに憧れて、チェレスタに入ってくれて。俺の……、冷え切っていた心を温めてくれて、ありがとう」
耳元で響く大地の切なげな声に、花穂の胸が締めつけられる。
「私の方こそ、ありがとうございます。ずっとお礼を言いたかったの。あの時、私に笑いかけてくれてありがとうって。優しく頭をなでてくれて、ありがとうって。素敵な世界を私に見せてくれて、本当にありがとうございました」
「青山……」
大地はますます花穂を強く抱きしめた。
「お前のおかげで俺は昔の自分を取り戻せた。純粋にやりたいことが心に蘇ってきて、真っ直ぐ仕事に向き合えた。ありがとう」
そっと身体を離すと、大地は花穂の瞳を覗き込む。
ぽろぽろと涙をこぼす花穂の頭に、ポンポンと優しく手を置いた。
「可愛いひよこちゃんが、こんなに愛おしい人になるなんて。……花穂、お前が好きだ」
見開いた花穂の瞳から新たな涙が溢れた。
「私も、あなたが好きです。4年前から、ずっと」
大地は嬉しそうに微笑むと、右手で花穂の頬を包み、優しくささやく。
「ごめん、もう一回言わせて。こう言わなきゃいけなかったんだよな?」
「え?」
「花穂、俺は心から君を愛してる」
胸の奥がジンとしびれ、花穂は目を潤ませたまま、言葉もなく大地を見つめた。
「違ったか?」
「ううん、合ってる」
両手を伸ばしてギュッと大地に抱きつくと、花穂も耳元でささやき返す。
「私もあなたを愛しています、……大地さん」
「花穂……」
込み上げる愛しさのまま、互いに互いを抱きしめ合う。
やがてゆっくりと顔を上げた花穂に大地は優しく笑いかけ、4年分の花穂の想いを包み込むように、愛のこもったキスを贈った。
「は、はい」
「ずっと覚えててくれたのか? 俺との会話を、4年間も」
「そ、そうです」
花穂はうつむいたまま小さく頷く。
「俺の手がけたあのジュエリーショップを見て、憧れてくれたのか? 自分もチェレスタのデザイナーになろうって」
「そうです」
「再会して俺だと気づいても、変わらずいい思い出として、大切に胸に秘めてくれていたのか?」
「そうです」
「俺に、幻滅しなかったのか? こんなに冷たいやつだったなんてって」
「幻滅なんてしません。だって浅倉さんは4年前と変わらず、優しさに溢れた人だったから。悩む私を励まして、ギュッて抱きしめてくれたから。ぶっきらぼうな言葉とは裏腹に、あなたの腕はいつも温かかったから」
「青山……」
次の瞬間、花穂は大地の大きな胸に抱きしめられていた。
「ありがとう、俺のことを覚えていてくれて」
「浅倉さん……」
「ありがとう、4年間もずっと大切な思い出にしてくれて。俺なんかに憧れて、チェレスタに入ってくれて。俺の……、冷え切っていた心を温めてくれて、ありがとう」
耳元で響く大地の切なげな声に、花穂の胸が締めつけられる。
「私の方こそ、ありがとうございます。ずっとお礼を言いたかったの。あの時、私に笑いかけてくれてありがとうって。優しく頭をなでてくれて、ありがとうって。素敵な世界を私に見せてくれて、本当にありがとうございました」
「青山……」
大地はますます花穂を強く抱きしめた。
「お前のおかげで俺は昔の自分を取り戻せた。純粋にやりたいことが心に蘇ってきて、真っ直ぐ仕事に向き合えた。ありがとう」
そっと身体を離すと、大地は花穂の瞳を覗き込む。
ぽろぽろと涙をこぼす花穂の頭に、ポンポンと優しく手を置いた。
「可愛いひよこちゃんが、こんなに愛おしい人になるなんて。……花穂、お前が好きだ」
見開いた花穂の瞳から新たな涙が溢れた。
「私も、あなたが好きです。4年前から、ずっと」
大地は嬉しそうに微笑むと、右手で花穂の頬を包み、優しくささやく。
「ごめん、もう一回言わせて。こう言わなきゃいけなかったんだよな?」
「え?」
「花穂、俺は心から君を愛してる」
胸の奥がジンとしびれ、花穂は目を潤ませたまま、言葉もなく大地を見つめた。
「違ったか?」
「ううん、合ってる」
両手を伸ばしてギュッと大地に抱きつくと、花穂も耳元でささやき返す。
「私もあなたを愛しています、……大地さん」
「花穂……」
込み上げる愛しさのまま、互いに互いを抱きしめ合う。
やがてゆっくりと顔を上げた花穂に大地は優しく笑いかけ、4年分の花穂の想いを包み込むように、愛のこもったキスを贈った。