めぐり逢い 憧れてのち 恋となる【書籍化】
「美術館の空間デザインのコンペ?」
会議室で話を切り出した大地に、大森が驚きの声を上げる。
「それに参加するって言うのか? 俺たちが」
「ああ、そうだ」
大地は二人に資料を差し出した。
「この美術館で夏から秋にかけて、アンティークジュエリー展を開催するそうだ。その展示エリアの空間デザインを任せる会社を募るとのことで、うちのプロデュース部にもコンペの案内が送られてきた」
大森が資料を手に取り、じっと目を落とす。
やがていつになく真剣な表情で大地に問いかけた。
「お前、本当にやるのか? 公開コンペだぞ? こんなに大きな話なら、当然他のライバル企業も名乗りを上げるはずだ。……オンリーワンプランニングも」
花穂は小さく息を呑む。
かつて大地をスランプに陥らせた笹本、そして花穂にとっては恩人であり、大地の同期でもあった織江と戦うことになるのだ。
(そんな……。勝っても負けても複雑な心境になるんじゃ?)
うつむいて考え込んでいると、大地が落ち着いた口調で話し出した。
「コンペは相手が重要なんじゃない。自分たちがなにをやりたいか、自分たちならなにができるかを見せるのが重要なんだ。他に誰が参加していようが関係ない。俺たちが向き合うのはライバルじゃない、自分たち自身と審査員だからな」
大森はしばし逡巡してから顔を上げ、しっかりと大地に頷いた。
「分かった、やろう。このでっかい仕事を俺たち3人で掴もう」
「ああ、頼りにしてる。花穂は?」
二人に顔を向けられて、花穂は慌てて頷いた。
「もちろん、私にできることならなんでもやります」
「ありがとう」
そして早速、3人で打ち合わせを始めた。
会議室で話を切り出した大地に、大森が驚きの声を上げる。
「それに参加するって言うのか? 俺たちが」
「ああ、そうだ」
大地は二人に資料を差し出した。
「この美術館で夏から秋にかけて、アンティークジュエリー展を開催するそうだ。その展示エリアの空間デザインを任せる会社を募るとのことで、うちのプロデュース部にもコンペの案内が送られてきた」
大森が資料を手に取り、じっと目を落とす。
やがていつになく真剣な表情で大地に問いかけた。
「お前、本当にやるのか? 公開コンペだぞ? こんなに大きな話なら、当然他のライバル企業も名乗りを上げるはずだ。……オンリーワンプランニングも」
花穂は小さく息を呑む。
かつて大地をスランプに陥らせた笹本、そして花穂にとっては恩人であり、大地の同期でもあった織江と戦うことになるのだ。
(そんな……。勝っても負けても複雑な心境になるんじゃ?)
うつむいて考え込んでいると、大地が落ち着いた口調で話し出した。
「コンペは相手が重要なんじゃない。自分たちがなにをやりたいか、自分たちならなにができるかを見せるのが重要なんだ。他に誰が参加していようが関係ない。俺たちが向き合うのはライバルじゃない、自分たち自身と審査員だからな」
大森はしばし逡巡してから顔を上げ、しっかりと大地に頷いた。
「分かった、やろう。このでっかい仕事を俺たち3人で掴もう」
「ああ、頼りにしてる。花穂は?」
二人に顔を向けられて、花穂は慌てて頷いた。
「もちろん、私にできることならなんでもやります」
「ありがとう」
そして早速、3人で打ち合わせを始めた。