めぐり逢い 憧れてのち 恋となる
食後のコーヒーをソファで飲みながら、花穂は短冊をいくつか大地に見せる。

「どのデザインがいいと思う?」
「んー、そうだな。この全体に金箔みたいなのがちりばめられてるのは?」
「ええ、それイチオシなんですけど、ちょっと文字が書きづらくて」

そう言って花穂は、サインペンでさらさらと書き込む。

「金箔のところが、ちょっとでこぼこしちゃうんですよね。ほら」

大地は手に取ると、文字を読み上げた。

「たなばたは 七月七日に やって来る……って、なんだよこれ? ははっ!」
「和歌を一首詠んでみました」
「どこがだよ。もっと風流なのにしろ」
「えー? じゃあ、これは?」

別の短冊に書いて見せると、またしても大地は笑い出す。

「織姫は 彦星様に 会いたいよ? 花穂、古文の授業寝てただろ。平安時代は和歌で交際を申し込んでたんだぞ? もっと愛を語れ」
「寝てないもん! 大地さんこそ、詠めるの? 愛を語った歌」
「おう、詠めるぞ」

大地は花穂からペンを受け取ると、なにやら考えてから短冊にしたためる。

「どうよ?」

ドヤ顔で差し出された短冊を、今度は花穂が読み上げた。

「君がため たとえ火の中 水の中……。びみょー」
「なんだと? これのどこが微妙なんだ」
「私たち、平安時代に出逢ってたら、つき合えませんでしたね」
「なにをー! 俺はいつの時代でも花穂を絶対に振り向かせてみせる。見てろよー」

火がついたように、大地は真剣に短冊にペンを走らせる。

花穂は、やれやれと苦笑いを浮かべて見守った。

「これならどうだ!」

まるで印籠か切り札のように、大地が短冊をズイッと花穂の前に差し出した。

「どれどれ?」

覗き込んだ花穂の表情から笑みが消える。
読み終わると、目を潤ませながら大地にギュッと抱きついた。

「……花穂、合格?」
「うん」
「よかった。これで平安時代に出逢っても、俺は花穂と結ばれるな」
「いつの時代でも、どこで出逢っても、私はあなたを好きになります」
「俺もだよ、花穂」

大地は花穂の頭にポンポンと手をやってから、そっと頬に手を添える。

うっとりと目を閉じる花穂に微笑んでから、大地は愛に満ちたキスを贈った。

『 いつまでも
     ただ花穂だけを
          愛してる 』



(結び)
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