パーカー日和

パーカーのフードを引っ張られて…

冬。
肌寒い日が続く季節にピッタリなのがパーカーです。

私の名前は彩。
パーカーが大好きな私立桜ヶ丘高校の1年生。

今日の私は、フェリシモの白い中綿フードのボアパーカーに、同じくフェリシモの小花柄のボアフードのパーカーを羽織って、ダブルパーカーでした。
フェリシモの紺色のベロア生地のロングスカートと合わせて、アリームの白いリュックを背負っています。
私は彼氏の賢人に呼び出されて、町外れの大きな西洋のお屋敷にやってきました。
ですが、賢人の姿はどこにも見当たりません。

雨が振り始めたので、私はフードを被りました。

外で待ってようにも寒かったので、仕方なくお屋敷の扉を開けて中に入りました。

「賢人?」

中は静まり返り、賢人もいないようでした。

賢人を探してみようとした時、突然、何かに後ろから小花柄のボアフードを掴まれました。

「きゃあっ…」

頭からフードが下ろされ、ギュっと力強く引っ張られてしまいます。

振り向くと、全身真っ黒な男の人が立っています。

「いやぁっ」

私は逃げようと思いましたが、フードを掴まれていて逃げられません。

「苦しいっ…離して!」

男の人は小花柄のボアフードをさらに引き寄せ、白い中綿フードも同時に掴み上げます。

「やぁ…く、苦しい…」

フードが同時に引っ張られて、ますます首が苦しくなりました。

「もう…息が…」

そう思った時、パッとフードから手が離れました。

「逃げなきゃ…」

あの黒い男の人は消えていました。

私は一目散に走り、入り口の扉を開けようとしますがびくともしません。

「何で…?」

私はどうやらこのお屋敷に閉じ込められてしまったみたいです。

「賢人…助けて!」

彼氏の名前を呼びますが助けには来てくれません。
私は仕方なく、お屋敷の電話を探すことにしました。

またあの黒い男の人にフードを引っ張られてしまうかもしれない恐怖を感じながら、用心してフードを被りました。

奥に部屋があるみたいだったので、私は扉を開けてその部屋の中に入りました。

真っ暗で何も見えません。
私は部屋の明かりを付けようとスイッチを探しました。

スイッチが見つかりパッと部屋の明かりがついて、私は驚きます。

「何…これ…」

そこにはマネキンが並んでいました。どれも不気味な顔をこちらに向けていました。

私はさらに奥に部屋があるのがわかり、マネキンの間を通りぬけようとした時です。

1体のマネキンが突然動き出し、私の小花柄パーカーのボアフードを掴みました。

「きゃあっ…」

私はボアフードをマネキンに引っ張られてしまいます。

「うう…苦しい…」

マネキンの手をボアフードから引き剥がそうとしますが、ますます強くフードを引っ張られました。

「は…離してぇ…」

中に着ていた中綿フードも引っ張られてしまい、さらに首が締まり苦しくなりました。

「く、苦しい…息が…」

私は必死にもがきます。

するとマネキンが急に手をフードから離しました。

「あっ…ケホ…ケホ」

私は苦しさから解放され咳き込みます。

「今のうちに逃げなきゃ」

私はマネキンの間を急いで抜けて、奥の扉を開けました。

この部屋に電話がありました。
私はとっさに電話をとりましたが、どうやら壊れているようです。

「そんな…」

私は落胆しましたが、マネキンの部屋に戻る気はありませんでした。

私がどうしようかと迷っていた時、突然、部屋が真っ暗になりました。

「な、何…」

パッと明かりがつくと、あの黒い男の人が目の前にいました。

「きゃあっ…」

黒い男の人は両手をニュッと伸ばして、私の首をギュっとつかみました。

「うぅ…いや…」

そのまま私は首を絞められてしまいます。

「く…くるしい…」

私は首を絞められ続けて、やがて気を失ってしまったのでした。



気がつくと私はお屋敷の玄関の前にいました。
玄関の扉をダメ元で開けようとして、すんなり扉が開きました。

私はお屋敷からそのまま逃げるようにして家に帰りました。

のちに賢人にそのことを話すと賢人は私を呼んだことを覚えていませんでした。

私はあのお屋敷にだけは今後、近づかないようにしようと思います。












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