気まぐれヒーロー
「ずいぶんひでえフラれ方したな、おねーさん!どうだ今の気分は」
どうやら屋上にいたのは、三人だけではなかったらしい。
出っ張りの上から顔を覗かせて、ニヤニヤしているこの男。
髪の毛が……み、緑だ!!
初めて見た。緑色に髪染めてる人。
っていうか、いつからいたの!?
「ちょっと待ってろ」
そう言うと、緑頭は出っ張りの上から飛び降りて、私の方へ近づいてきた。
ダラしなく腰で穿かれたズボン。耳には沢山のピアス。はだけた胸元。
こんなにも制服を着崩せるのも、ある意味すごい。
そして無造作に立てられた、鮮やかな緑の髪。
顔は……意外にも整っていた。
キレイな二重の目も高い鼻筋も、涼しげな口元も。私にはないものだ。
紛れもなく、イケメンだった。
それに身長もけっこう高くて、180はあるんじゃないかと思った。
派手な外見といい体格の良さといい、圧がすごい。
「の、覗いてたの?」
「あ?俺はおねーさん達が来る前から、ずっとここにいたっての」
「は、はぁ……」
ということはですね、一部始終見られてたってことですよね!!?
人生最悪の日だ。くそっ、占い当たってないし!!
もーやだ……。神様はどこまで意地悪なんだろう。
あんなふうにフラれて、そのうえ見知らぬ人にまで見られてたなんて!
「ま~、今どき珍しいわなぁ。髪は真っ黒、スカートも長えし。色気ゼロだしなぁ。顔は……さっきの野郎が言うほどブスじゃねえよ、気にすんな」
私の足先から頭のてっぺんまでじろじろ観察すると、「ぎゃはは!」と下品に笑う緑頭。
すっごいムカつく。