音の放浪者
眩しい程の照明が私を照らす。


中学校最後の、全日本吹奏楽コンクール。


部長としてトロフィーの横に立ち、吹奏楽連盟会長と向き合う。



「六番、桐生中学校……」



喉が焼けるように熱い。
私はゴクリと唾を飲み込んだ。
会長が発した言葉は、




「ゴールド金賞」




客席の方からワッと歓声が上がった。
たくさんの思い出が蘇る。


決して楽な道では無かった。辛いこと
も沢山あった。だが、全国大会金賞と
いうこの事実が、今までの私達の全て
を祝福してくれるような気がした。


私は賞状を受け取り舞台の端に立ち、客席に向かって礼をした。





こうして桐生中学校は、三年連続で全国大会金賞を獲得した。
< 2 / 18 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop