爛漫ろまんす!

小龍と龍仙女と母

「本格中華料理だあああ!!」

「ふふふ、たんとお食べなさい」

柘榴(シィーリオ)が器に料理を装い、神美(かみ)の前に差し出した。

「いっただきまーすっ!!!」

己の腹の虫で小さな騒動を起こした神美(かみ)は宮殿から宮廷に移動をし、皇帝陛下だけが使用を可能とされている一室で、本格中華料理の 饗応(きょうおう)を受けることになった。

「もおモグモグお腹モグモグ空いてモグモグ仕方がなくtモグモグ…っそれに、あたし今日誕生日だったんだけど……──色々あって……ご馳走食べ損ねてたんです!」

「……自分の世界で誕生した日……か」

「ところで貴方って……、間違えてたら凄い申し訳ないんですけど……もしかして──小龍(シャオロン)?」

「……」

「ぶ、無礼な……!」

「陛下を「くん」付けで呼ぶなんぞ万死に値する行為!!」

「よい───私が許可する。それに…この者は龍仙女(ロンシィェンニュ)の子孫であるぞ」

「くん?へいか?」

「ふふ、貴方……中々の強者(つわもの)ねっ」

「へ?」

神美(かみ)よ、先程の僵尸(きようし)から救ったのは私だ───そなたの祖母…龍仙女(ロンシィェンニュ)と共に居た白龍……」

「それじゃあやっぱり……、貴方があの時おばあちゃんと助けてくれた────」

小龍(シャオロン)はこくりと頷いた。

「我が名は白龍帝(はくりゅうてい)。この白梨(はくり)国の第五代皇帝。───そして、伝説上の生き物…五龍(ウーロン)の内の一匹、白龍(パイロン)でもある。」

「こ………皇帝陛下ぁぁぁぁ!?」

「だからさっきからそう言ってたでしょ?」

「だだだだだだだだだだだだって!!」

「気にせずとも()いぞ。……それに、龍仙女(ロンシィェンニュ)はそなたに《《指輪》》を託したようだな……」

「え……」

白龍(パイロン)の視線を辿ると、神美(かみ)の左手の薬指には透明で美しい指輪が嵌められていた。

「これ…、あたしがキョンシーに襲われそうになった時……おばあちゃんがこの指輪を投げて……───そしたら……気付いたら、この世界に来てたの。…ねぇ、小龍(シャオロン)はおばあちゃんとどういう関係なの?。それに……龍仙女(ロンシィェンニュ)って何?」

龍仙女(ロンシィェンニュ)は5匹の伝説上の龍・五龍(ウーロン)を従える、世界を平和に誘う仙女だ。…そなたと逢った時の姿は、本来の私だ。」

「じゃ……じゃあ……今の皇帝様は……」

「無論、仮の姿である。…私と…龍仙女(ロンシィェンニュ)美豚(ビトン)と呼ばれる、ふくよかな美しい人間の乙女を捜していた。何千年の時をかけてな……───」


美豚(ビトン)とは、我々の国で言い伝えられている、人の欲望と一つの願望を叶える食材だ────食した者は、永遠の平和を───永遠の美貌を──永遠の生命を──永遠の権力を…………

人間が臨んだ物を全て手に入れられると
ある村では「幸福」の食材として称され、然し、その村の一部では「不幸」の呪いの食材として称され、その村の娘達は、肥える事を許されなかった。

幸福と称した村人達の娘が皆肥えていき……
最後は村人同士で命を奪い、奪われ、その場で食い殺されるという……────惨たらしいものだった

そんな事をしても無意味だと言うのに………

「私と龍仙女(ロンシィェンニュ)は、肥えた娘達そうでない娘達を解放しようと村に訪れた時は……全員惨殺されていた」

「そ……そんな!!!」

私達はその美豚(ビトン)を食した者の血の香りを辿って、何千年の時をかけて

そして漸く辿り着いた先は

「お前の元だった……」

お前を誕生させた生みの親は、身なりが派手な娘だった。相手の男は、自分が身篭ったと話すと、逃げたと───泣きながら話していた。
しかし、その娘はお前を愛おしそうに見つめ

神美(かみ)………神美(かみ)とかどうかな?』

『私には良く分からぬ』

『んもぉ~、まじ小龍(シャオロン)冷てぇ~~。まだリン子っちの方が優しいっつーの』

『その『リン子っち』って、なんじゃ?。なんか急に下品になったぜよ』

『ひどいぃぃ~~!!、ねぇ、神美(かみ)~この人らひどいよねぇ?』


その話を聞いた時、大粒の涙が零れた───

そう、あたしの


本当の───────────


「母の顔をして、そなたに名を付けていた」


病室で小龍(シャオロン)とおばあちゃんは、あたしと……本当のあたしのお母さんを護ってくれていた。毎日……毎日──────


「しかし…誕生したばかりの美豚(ビトン)の存在に気付いた者達が、お前達を襲った───」

私達は一瞬の不意をつかれてしまったんだ……


『お願い!!!神美(かみ)だけは連れて行かないで!!!。この子は呪いとか関係ない、普通の女の子なんだ!!!美豚(びとん)はアタシの代でもう終わりなんだよ!!。』

手に抱かれた赤子の泣き声が響き渡る。しかし、僵尸(きようし)達は一斉に襲いかかった。


『っ……神美(かみ)……まじ、こんなママで…ごめんね……、でも……それでも……ママは神美(かみ)の事─────』


ザシュッッッッッッ!!!!!────


『愛してるか───……ら』

宙に投げ出された神美(かみ)龍仙女(ロンシィェンニュ)が受け止めたが……

しかし…………


「やめてーーーーッ!!!!!!!!!!」

「!……」

「嫌だ………嫌だよ!!!そこから先は聞きたくないッ!!信じないッ!!!こんなの悪い夢だよ!!信じないッ!!!」

バンッ!!!!と、扉を開けて、神美(かみ)は駆け出してしまった。


「む、娘が脱走したぞ!?」

「早く捕まえろ!!」

慌てふためく家臣や武官達の騒ぎを、白龍(パイロン)は手で制した

「私が捜す」

その青い瞳から悔恨(かいこん)の念を感じ取るくらい、周囲の者達を鎮静させた。
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