爛漫ろまんす!

皮と具

「へ、陛下!…我々が!」

「貴方様に捜させる訳にはまいりませぬ!」

神美(かみ)が飛び出した後、白龍(パイロン)が直ぐ様に追いかけようとすると、家臣達は慌てた様子で制止したのだ。

「……気遣い感謝する───しかし、これは私の責任だ。」

「陛下、お言葉ですが……あの娘は呪いの食材と呼ばれた美豚(ビトン)…。陛下が何故そこまで、あの娘を気にをかけるのか……」

「それに、美豚(ビトン)は今直ぐにでも始末せねばならぬと……───伝説ではそう語り継がれております」

「あの娘は呪いの食材ではない」

「し、しかし……!」

「心美しき娘だ……───穢れを知らない、乙女なのだ」

すると──白龍(パイロン)の身体は白く輝き始め、龍の姿へと変身した。

「そなた達も、いずれあの娘の人柄に惹かれるであろう……。───…今は、それで良いのだ」

「へ、陛下!!」


ビュオォォォ!!──と、突風が吹くと、白龍(パイロン)は消えてしまった。






「ね…ぇ、あなた……もしかして、小龍(シャオロン)が……好きなの?」

「……ええ、そうよ───アタシは、あの方の為ならば……命を捧げる覚悟も出来てるの。……でも、白龍(パイロン)は…───貴女を護る事でいつも頭がいっぱいで……───アタシの気持ちも……残りの(ロン)の気持ちもお構い無しに……」

「どう…して?……小龍(シャオロン)は……あたしを」

「情に触れてしまったから───貴女の生みの親の……────五龍(ウーロン)として生きていたのに、そんな使命や…世界を不安定にさせてしまっても……───何があっても護ると誓ったのよ───貴女の母親の代わりに、白龍(パイロン)は!!─────」

ドオオォォォォォォンッ!!!!!!

突如の衝撃波によって室内が破壊され、黄龍(ファンロン)龍尾(りゅうび)に捕えられていた神美(かみ)は解放され、外に投げ出されてしまった。

「うわあああ!?」

神美(かみ)!!!─────」

ドサッ……!!!────

(……あれ?、痛みが……無い───)

「って!!───シャ、小龍(シャオロン)…!!」

「っ……───間一髪と言った所か……」

白龍姿の白龍(パイロン)は、自分の背で神美(かみ)を受け止めたのだ。

「お、重かったよね!?。どうして……───助けに来てくれたの?」

「……私は無神経だった────そなたの気持ちも考えずに……、傷付けてしまった」

白龍(パイロン)は身体から白い光を放ち、人間の姿へと戻る。そして、神美(かみ)の頬に手を添えて…

「済まなかった……」

「っ……」

(なんて、綺麗な人なんだろう……。)

硝子玉の様な綺麗な瞳───長くて黒い髪────透き通るような白い肌……

神美(かみ)は、心がときめいた。

しかしそれを、嫉妬が混ざった黄金色の瞳が見逃さなかったのだ。

白龍(パイロン)……ッ!!」

黄龍(ファンロン)…、一体之はどういう事なのだ?。……神美(かみ)に……、何をしようとした?」

「…白龍(パイロン)…、貴方は変わってしまった……────美豚(その娘)を見つけた時から……」

「……下がれ─神美(かみ)。」

小龍(シャオロン)!?……何をする気なの!?」

「……この(ロン)は、五龍(ウーロン)の禁忌を破った───…人間に手を掛けようとしたのだ」

白龍(パイロン)は、腰元の鞘から剣を抜き
黄龍(ファンロン)に突き付けた。
黄龍(ファンロン)は、白龍(パイロン)のその行動にショックを受け、身体から黄金の光を放ち──────

「ッ……!?──そなたは……、いつも柘榴(シィーリオ)と共に居る…後宮の妃の……」

泣きじゃくるその美しい少女の顔を見た白龍(パイロン)は驚愕の表情を浮かべた。

「ッ……あぁぁッ!!───……ッ……やっと……やっと……白龍(あなた)に……追いついたのに……ッ────」


(どんな思いで……)

神美(かみ)は無意識にそっと、黄龍(ファンロン)を抱き締めていた。

「ッ!?…な!!何をするのよッ!!!───」

「───寂しかったよね……────ごめんね……、ごめんね……ッ───大好きなんだよね……、白龍(かれ)の事が……─── 龍仙女(おばあちゃん)の事が」


痛い程──伝わってくるから……




神美(かみ)、痩せるとは別に、ばあちゃんとの約束じゃ』



ええか?、世の中色んな個性を持って、宿命を持った生物が居るんじゃ

お前はその生物の中の、人間っちゅーもんにたまたま生まれたに過ぎん。

その生物の中にゃあ、捻くれて拗らせて…
そらぁ、えれぇめんどくせぇ、理不尽な馬鹿も存在するけどなぁ

「大丈夫だよ……、ちゃんと…貴方の気持ち分かってるよ」

『お前はそんな《《馬鹿》》を包める、肉まんや小籠包の皮的な存在になってやれ。具があるからこそ、皮がある。』

『ばあちゃん、何言ってるかさっぱりだよ』

『アハハ!、今に分かるぜよ』

皮だけじゃ────具だけじゃ───

「寂しいもん……、そんなんじゃ……」

幼き頃におばあちゃんに言われた事を、やっと理解が出来た気がする。

でも、それは……、言葉にするにはまだ難しいような……

「あたし、四ノ宮神美(かみ)って言います!。…あたし……黄龍(ファンロン)と友達になりたい!───だから、貴女の名前を教えて?」

おばあちゃん────あたしは、包める皮になれるかな?

包める皮になれたら、また……

神美(かみ)の所に、帰ってきてくれる?
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