愛を知った日
奏といるといつも忘れている。そんなことを思いながら俺は自分のアパートに帰る。いつものように階段を登り部屋に入る。このアパートには誰も招いたことはない。
というか俺がどういう境遇かも話したことはない。
でも奏なら招いてもいいかなと思うくらいには好きになっている。
それから数日。明美から奏の体調不良を聞いた。元々身体が弱くよく体調を崩すようだ。
心配で連絡を取ったが、もちろん返事はない。寝込んでいるのなら返信できなくて当たり前だと思いつつもやはり日が経つにつれて心配になる。そして何度かメッセージを送ってしまった。
そうして過ごしていたある日。いつものように伊月達と街をぶらぶら歩いているとポケットに入れていたスマホが震えた。すぐに確認すると奏からだった。
そこには感謝の言葉が並んでいて俺はすぐに返事を返した。気づけば約束した勉強会はもうすぐだ。俺達はみんな無理しなくてもいいと言ったけど奏は大丈夫の1点張りだった。ああ見えて意外と頑固なところもあるようだ。
そして迎えた勉強会の日。俺は似たような服しか持っていないので今日もそれを着て出かける。
奏の家の近くで明美と合流しコンビニでお菓子や飲み物を買い込んで奏の家に向かった。
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