愛を知った日
「ううん。大丈夫?隣にいたのに気づけなくて何もできなくてごめんね。」
「大丈夫だよ。心配してくれてありがとう。明美ちゃんがいてくれて助かったよ。」
「私は救急車呼んだだけだし怖くて動けなかった。」
「救急車呼んでくれただけでもすごく助かったよ。私の病気こと知ってるの明美ちゃんだけだし。」
「奏のお母さんが誤魔化してたから2人には何も言ってないよ。」
「ありがとう。」
「いいえ。ゆっくり休んでね。」
明美ちゃんは私の病気は知っているけど余命宣告されていることは知らない。
「ありがとう。またね。おやすみ。」
そう送ってスマホを閉じて目をつぶる。
次の日から検査が始まった。いつもの検査ではあるもののやっぱり慣れない。
慣れない検査を受けながらこの1週間がなにもなく過ぎることを願う。その間はとてつもなく長く感じた。でもその間、家族が毎日来てくれたし友達からも連絡があったのでつらさを紛らすことができた。
「奏〜元気にしてる?」
「パパ!」
「これ、碧から。早く元気になってねだって。」
「ありがとう。みんな元気?」
「うん。元気だよ。碧も熱、下がったし。早くねぇねと遊びたいって。」
「うふふ。良かった。」
「ママは今日、仕事で来れないけど心配してた。」
「うん。ありがとうって伝えて。」
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