愛を知った日
そう語りかける碧を見て俺もそばへ行き手を握った。
「ごめん…全部全部俺のせいだから早く目覚ましてくれ。話したいこといっぱいあるんだ」
祈るように声を出す。
「そうだよ。奏、早く起きてよ。私、奏がいないと寂しいよ」
明美が俺と反対の手を握り同調するように言う。
すると思いが通じたのか握った手がピクッと小さく動いた。
それは明美も感じたようで目を見開く。
「奏!気づいたのか?」
俺が驚いているのを見て全員がベッドに集まってくる。
「どしたの?」
「今指がピクッって動いたんだ」
「私も感じた」
「本当か?」
「はい」
「ねぇね、起きてよ!」
そう碧が叫んだその時、奏の目がゆっくりと開いた。
「奏?目が覚めたのか?分かるか?」
「奏、大丈夫?」
「んっ…?鳳蝶くん…?明美ちゃん…?」
「奏、良かった…」
明美は奏の手をさすりながら涙ぐんでいた。
「ああ。そうだ。鳳蝶だ」
俺も実に4日ぶりに聞く奏の声に涙が出そうになる。
「奏、本当に良かった。今先生呼ぶから」
父親がナースコールを押す。するとすぐに主治医の先生がきて確認のため一旦俺達は退出を促された。
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