愛を知った日
「お待たせしました。デミカツと中華定食ね。それと小鉢3つ。」
「ありがとうございます。」
「あっあとこれ、サービスね。喧嘩すんじゃないよ。」
お店の人がフルーツの盛り合わせをサービスしてくれた。さっきの大きな声で喧嘩をしていると思ったらしい。
「喧嘩じゃないけどこれはありがと。」
「ありがとな。」
「せっかく男前で可愛い子連れてんだから悲しませんじゃないよ。君たちはこの2人が初めて連れて来た女の子なんだよ。」
「そうなんですか?」
「おばちゃん、余計なこと言わなくていいから。」
「お邪魔してごめんなさいね。ごゆっくり。」
そうしておばさんは厨房に入って行った。
「おばさんの言ってたことほんと?」
「そこ追求しないでいいから。早く食べよう。」
「えー気になるじゃんね。」
「鳳蝶がここに連れて行こうって。」
「伊月!」
「そうなの?」
「ここしか店、思いつかなかったからだ。」
「そうなこと言っていつも女子は連れてこないって言ってたのにどういう心境の変化?」
「いいだろ。もう。食べるぞ。いただきます。」
「ふふ。いただきま〜す。」
私も笑いながらおばさんが優しさで切ってくれたのであろうデミグラスソースのかかったとんかつを1切れ食べた。
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