拝啓、元婚約者様 捨てた私のことはお構いなく
「もしかして……。ロバートがここに来た頃に、バナージ様はリゾート開発に興味をもっていると言っていたんです。金鉱石の採掘で得た収益をそれに出資してしまうので必要な経費のやりくりすら大変だったと、以前聞いたことがあります。そのリゾート地がシートなのかもしれません」
「なるほど」

 ホークは腕を組む。
 
「それは使えるかもしれない。シートはリバーゼ子爵領か。早速遣いを出すとしよう」

 ホークはにやっと笑った。
 
 
   ◇ ◇ ◇

 
【ヴィラ歴424年10月】  
 
 バナージからの招待を受けた一月後、フィーヌとホークは王都へと向かった。
 夕方頃にダイナー公爵邸に到着したフィーヌは、馬車を降りて周囲を見回す。

(庭園が荒れているわね)

 よく見ると植木にツタが絡まっているし、雑草も生えている。
 貴族の邸宅において、庭園を始めとする屋敷の管理は女主人の仕事だ。つまり、このように庭園が荒れているのはレイナの管理が行き届いていないことを意味する。

「お待ちしておりました。ご案内します」

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