拝啓、元婚約者様 捨てた私のことはお構いなく
 ただ、ちょっとばかし上層地盤が固くなっているのでなかなか掘り返せないだけだ。

「またあいつが顔を真っ赤にして押しかけてくるかもしれないな」
「押しかけられても困ります。だって、言っていることがめちゃくちゃですから。こちらは正当な手続きを踏んで土地を入札しているだけなのに」
 
 フィーヌはほうっと息を吐く。

「それに、聡明なダイナー公爵閣下は以前、ご自身の判断に後悔することなどないとおっしゃっておりましたから心配しなくていいでしょう」
「それもそうだな。余計な心配をしてしまったようだ」

 フィーヌの皮肉に、ホークは愉快そうに肩を揺らす。
 そのとき、ドアがノックされアンナが入ってきた。

「奥様、ご実家からお手紙です」
「実家?」

 フィーヌは怪訝な顔で、封筒を見る。そこには確かにショット侯爵家の封蝋が押されていた。
 
「なんだろう?」
「開けてみます」

 フィーヌは封を切って手紙の中身を読む。

「あらあら」
「どうした?」
「レイナが離縁するそうです」

 フィーヌは肩を竦める。
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