拝啓、元婚約者様 捨てた私のことはお構いなく
「ああ、それ以外誰に渡すと言うんだ?」

 素っ頓狂な声を上げるフィーヌを見て、ホークは怪訝な顔をする。

「受け取ってくれ。きみのために作った」

 ホークはフィーヌの左手を取って人差し指に指輪をはめる。

(あ。もしかして、結婚指輪?)

 結婚式をしていないフィーヌは、未だに結婚指輪をしていない。指輪はまるで最初から計ってあったかのように、フィーヌの指にぴったりとあっていた。
 ホークの目元が優しく緩む。

「とても綺麗だ」
「……っ! ありがとうございます」

 フィーヌは息を呑み、彼から目を逸らすと胸の前でぎゅっと手を握る。胸の鼓動が早い。

(指輪が綺麗って言ったのよ)
 
 フィーヌは必死に自分に言い聞かせる。
 勘違いすると最後に傷つくのは、自分自身なのだから。
 
 
 

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