拝啓、元婚約者様 捨てた私のことはお構いなく
 思ったよりもずっと素敵なお店だった。クラシカルなデザインから最近若者に流行っているデザインまで多種多様に取り揃えており、王都のようなギラギラした華美すぎる宝飾品がない分、むしろフィーヌの好みには合っている。

「先日預けていたダイヤモンド鉱石はどうなった?」
「研磨済みです。こちらを」

 店主は奥に一旦さがると、恭しく両手で小さな箱を運んできた。ホークとフィーヌの前で箱のふたが開けられると、中には小指の爪くらいの大粒のダイヤモンドが嵌った指輪が輝いていた。

(うわー、綺麗)

 フィーヌは思わず惚れ惚れとする。
 フィーヌも乙女のはしくれ。宝石をじゃらじゃらとつけて着飾る趣味はないけれど、素敵なアクセサリーを見れば心がときめく。
 
「ダイヤモンドの価値は重さ、傷や不純物の有無、色合い、カットで決まります。こちらはどれをとっても文句なしの逸品です」

 店主はにこにこしながら説明する。
 
「そうか。妻へのプレゼントにぴったりの逸品だ。感謝する」

 ホークが機嫌よさそうに店主に礼を言うのを聞いて、フィーヌは驚いた。

「わたくしへのプレゼントなのですか?」
< 96 / 193 >

この作品をシェア

pagetop