拝啓、元婚約者様 捨てた私のことはお構いなく
「疲れているだろうが、もう少し頑張ってくれ。これが終わればタウンハウスに戻るから」

 ホークはフィーヌが疲れて無口になっているのだと勘違いしたようで、彼女の背中を労わるように撫でる。

「そうですね。もう少しだわ」

(そしてここからが、本番ね)

 先ほど、レイナとバナージは王城近くにある大聖堂で挙式をした。元々はフィーヌとバナージが結婚式をする予定だった場所だ。

 そして、これから親しい友人やお世話になった人々、それに、付き合いのある貴族達を集めたパーティーがダイナー公爵家で始まる。結婚式の最中は全員が祭壇に注目しているから大丈夫だったが、パーティーともなると誰かしらはフィーヌとホークの存在に気付くだろう。

 会場に足を踏み入れると、そこには多くの人々がいた。
 王家に次ぐ爵位である公爵家と、名門侯爵家の婚姻。さらには花嫁であるレイナは重宝される『緑の手』の神恵を持っている。注目されるのは当然だった。

「行こうか」
「はい」

 ホークに手を取られ、フィーヌは歩き出す。
 ふたりが会場に入ると、それまでにぎわっていたあたりがシンと静まり返った。

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