Mr.Phantom
「馬鹿みたいに「ファントム様」とか言ってないで仕事をしろ。大体あいつは意地汚い泥棒だろ」

「酷い!ファントム様人気を舐めないでくださいよ!」

騒ぐヨルを無視し、アメは自分のデスクに腰掛ける。苛立ちはまだ収まらない。アメはトントンと自身のデスクを指で叩いた。

(クソ!)

怪盗ファントムは、三年前から突然姿を現すようになった。狙うのは貴重な宝石ばかり。そしてその宝石は悪い組織との繋がりがあることが多く、警察と多くの組織に影響を与えている。

そんな怪盗ファントムは、他の泥棒や強盗とは違い、決して人を傷付けない。自分が攻撃をされてもだ。その紳士的な振る舞いと整っているであろう顔立ちから、女性の間で「ファントム様」と呼ばれていたりもするのである。

チラリとアメはヨルの方を見た。彼女はすっかり落ち込んだ様子で書類を作っている。その様子を見ながらアメはため息を吐きそうになった。

(あいつは探偵事務所の社員であり、俺の助手だという自覚があるのか?)
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