姫と騎士のめぐりあい
晩餐会での襲撃事件から三日後、
エリザベートは帝都郊外の別邸へと身を移していた。

湖のほとりに建つその館は、
古い貴族の別荘を改装したものだという。
庭園には月光が降り注ぎ、
白い薔薇が夜露をまとって淡く光る。

「ここなら安心です。城よりも警備は厳重ですし、
 外部に場所を知られることもありません。」
案内したのはヴァルタザールだった。

「ごめんなさい……あなたにまで迷惑をかけてしまって。」
「迷惑だなんて。俺にできることがあるなら、それがどんなことでも構わない。」
その穏やかな声に、
エリザベートは胸の奥が温かくなるのを感じた。
恐怖と孤独に沈んでいた彼女の心を、
ヴァルタザールが静かに照らしていた。

しかし、その瞳の奥には、冷たい炎が潜んでいた。
< 50 / 103 >

この作品をシェア

pagetop