音のない世界で私の耳になってくれた君は







『こんなところで泣くなよ』




緑がかかった黒い髪に紫色の目。




『壮良…?』





『俺は…!

耳が聞こえてても聞こえなくても!


…蛍が好きだっ!




聞こえなくても俺がお前の耳になればいいだろ!
音のない世界で支えになるからっ!』



私の耳…



『だからそんな俺の株とか気にすんな、…なっ?』


壮良…






『…っ好き!大好き!ずっとそばにいて!離れないで!何があっても私と一緒にいるって約束して!』



思い切って言った。


壮良の顔が赤くなる





途端に抱きしめられた。



『よく言えました。約束するよ』



…っ!





『好きだよ』


『俺も』






春の深夜




私たちは甘い誓いをし、





お互い初めてのキスをした。












その日は幸せで忘れてしまっていた。



4月は意外と寒いということを…


そして親に動画をこっそり撮られていたことを…




素晴らしい青春…だね!









次の日…





恥ずかしさと4月の寒さのせいで風邪を引いた。




















      





               終わり









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