恋ひわずらふ帝~御簾の奥、ただ君を想う~
そんな私に、礼儀作法を厳しく教えてくださったのが、百合様だった。

百合様は、中宮・清姫様にお仕えする女房であり、私の父の昔馴染みでもあるという。

御簾の奥のことなど何も知らない私に、箸の持ち方から言葉遣いまで、根気よく教えてくださった。

時に厳しく、けれどいつも温かく。

「おまえが、もう少し高い身分に生まれていたら……よき嫁ぎ先もあったものを。」

そう言って、百合様はいつもため息をつく。

「その器量で、妾腹だなんて誠にもったいのうよ。」

自分の顔立ちがどうなのかなんて、私にはよく分からない。

けれど百合様が言うには、私はどうやら“器量のよい”娘らしい。

それでも、宮中では身分がすべて。

顔がよかろうと、誰かに見初められることなど、あるはずもない。

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