恋ひわずらふ帝~御簾の奥、ただ君を想う~
やがて泣き疲れ、畳の上に横たわったまま、浅い眠りに落ちてしまう。

一時して、ふと目が覚めたとき——手元にあったはずの日記がないことに気づいた。

胸が凍りつく。

まずい。あの方への想いが、墨ごと閉じ込められた日記。

あれを誰かに見られたら、すべてが露わになってしまう。

私は小さな房を飛び出した。

夜気がひやりと肌を撫でる。

庭先に差しかかったとき、灯りの向こうに人影が見えた。

その佇まいは、見間違えるはずもない——あの方だ。

「帝……」

思わず声が漏れる。

背を向けていたあの方が、ゆるりと振り返った。

「日記を書いているのか。」

「……はい。」

帝は手にしていた日記を、指先でそっとめくる。

紙が擦れる音がやけに大きく響いた。

「——これは、恋しい人がいるということか。」
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